ジジのお笑い建築学校(続)

笑えなくてもいい…ひきこもり派が建築の全てを語る! ジジ校長(=林要次)+ジムイン(=松本晴子)+新人くん(縁故採用)のケンチク業務的日誌です。

フランス 建築学科

フランス建築学生の必読本

ジジのお笑い建築学校、ジムインの松本晴子です。

はてさて。

ジジ校長(=林要次)、お笑い建築学校の図書室にて、蒐集した古今東西の蔵書を、漁ってみたり、並べなおしてみたり。
巻きあがる積年の埃のなかで、ナニヤラ楽しそうです。

ジジ校長曰く……建築学生様方々と、読みすすめるべき建築本選び、ナニがいいんでしょうね~…。

建築本といっても、センセイたちの専門性やバックグラウンド、美学的趣味?により、勧めてくる本もかなり違ってくる気もしますが。

ヨーロッパだと、普遍的な必読書というか、定番の図書というのもありますよね…みたいな話もあったり。
バシュラールとか、ルフェーヴルとかの空間論を、建築家たちは若い頃に読んでいて、プレゼンでチョロッと名前を出したりとか、というのもございましょう。

それでは、最近の建築学生はどんな本を読まされているか…!?

パリの国立ラ・ヴィレット建築大学校のサイトには、「建築学生の必読本!」ページがリンクされています。

=======

「建築学生の必読本」ラヴィレット出版局
http://www.paris-lavillette.archi.fr/uploads/images/editions/AFF_EDITIONS_PO_2019.pdf

=======
1年目:

〇ブリジット・ドナデュウ『見ることを学ぶ』

〇ジャン=ピエール・デュラン『プロジェクトの表現』

〇エミール カウフマン『ルドゥーからル・コルビュジエまで―自律的建築の起源と展開』白井秀和訳、1992

===
2年目:

〇フィリップ・ブドン『建築設計を教える』

〇ジャン・カステックス『ルネサンス、バロック、古典主義』

〇ジャン・オーベール『建築図面』

====

3年目

〇ウルリッヒ・コンラッド『二十世紀建築のプログラムとマニフェスト』

〇ソフィー・ラクロワ『崩壊』

〇フランク・ロイド・ライト、ジャン=フランソワ・アラン、カトリーヌ・マウミ『大規模農業都市、新しい境界』

===

4-5年目

〇ジャック・ドンズロ『3速都市」

〇イヴァン・デルモンティ『フランス再建:プレキャストコンクリートの冒険、1940-1955』

〇L・モホリ=ナギ 『材料から建築へ』、 宮島久雄訳

===

ちなみにジジ校長によれば、この1~5年目とは、2007年以来のフランス国家建築家資格(Diplôme d’État d’architecte)に対応したフォルマシオンなんだそうです。

いわゆる旧フランス政府公認資格D.P.L.G.に代わる制度ですね。

フランス全体としても、2000年代には、フランスの伝統的な高等教育制度が、EU的なLMD(学部・修士・博士?)制度へ大きく移行したようです。

掲載された書籍が、このころに出版されたものが多いのも、そんな背景があるからでしょうか。

建築学校での5年間の課程を終えると、晴れて6年生として、実務を始めます(La HMOP, L’habilitation à exercer la maîtrise d’œuvre en son nom propre)。

独立した建築家として働きはじめるころには、全部読みおえていられるといいな~…と夢見ながら、アマゾンをポチリとした後は、ツンドクだったりするのかもですが。

fiche de lectureとかあったら、留学生には結構苦痛ですが。

笑えなくてもいい…ひきこもり派が建築の全てを語る! ジジ校長(=林要次)+ジムイン(=松本晴子)+新人くん(縁故採用)による新・ケンチク業務的日誌です。 林要次:1級建築士、博士(工学) 松本晴子:翻訳家、美術評論 新人くん:小学生、Scratcher